リアルネットアイドル八坪30歳
◆六甲おろしに颯爽と(後編)

八坪だ。前回は六甲山『ビーナスブリッジ』を訪れ、俺と愛夏がラブラブファイヤーになったわけだが(愛夏註・なってませんよ、嘘は止めてください)。
前回の続きで、とりあえず六甲山の有名スポット残り2つ...

幻の心霊スポット『メリーさんの館』
UMA(未確認生物)『スカイフィッシュ』

について探索を進めることにした。
つーか、両方とも、どこに行けば巡り合えるのか、全然分からん!
だいたい「本当に存在するのかすら怪しい」シロモノである。

八坪「さーて、どうしたもんかねぇ...。」
カリ「なんでそんなに無計画なんですか。少しは来る前に情報収集とかして計画を練って
   おけばいいじゃないですか。」

八坪「『メリーさんの館』と『スカイフィッシュ』か。どっちも六甲山としか判ってねぇ
   んだよなぁ・・・。」
カリ「(聞いちゃいないし)一応、調べたんですが『メリーさんの館』の場所について
   は、やっぱり、手掛かりはないですよ。裏六甲だとか六甲牧場の近くだとか再度
   山ドライブウェイ沿いだとか、いろいろ言われてるみたいですけど...。それに、
   『スカイフィッシュ』に至っては未確認飛行生物ですからね。どこを探せばいい
   ものやら。」

八坪「とにかく、その辺のメリーさんっぽい場所を探して回ることにするか。ついでに
   『スカイフィッシュ』も探しながら、ということで。」
カリ「それしかなさそうですね(つーか、メリーさんぽいってなんだよ)。とりあえず、
   八坪さんは、これを持っててください。」

カリメロが、いきなり細長い棒を渡してきやがった。

八坪「あんだ、これ?」
カリ「スカイフィッシュに関してなんですけれ
   ど、以前、スカイフィッシュと戦った人
   の話だと、細くて長い棒で2匹ほどやっ
   つけたんだそうです。もしスカイフィッ
   シュが現れたら、武器になるし、捕まえ
   る為の道具になるかもしれませんよ。」

八坪「そうか、気が利くじゃねぇか。随分用意
   がいいんだな。」
写真1
細い棒
カリ「八坪さんの用意がなさ過ぎるんですよ。」
八坪「そーかー? じゃあ、行くとするか。」

棒を振り回し、奇声をあげながら山道を登っていくことにする。
未確認だか、未成年だかシラネェが、さっさと出てきてネタになりやがれぇ!

カリ「・・・・・・。」

(・∀・)スーンスーンスーン♪と歌いながら棒を振り回す八坪を見ながら、カリメロは下調べしたスカイフィッシュ関連の情報を思い起こしていた。

写真2
うをりゃあッツ!
「六甲山では、細い棒を振り回すとズタズタに体が切り裂かれるという伝説があるらしいのだが、それがスカイフィッシュではないかということである。」

つまり、この状況で八坪がズタズタに切り裂かれれば、それ即ち『スカイフィッシュ』の存在を証明することになるであろう。 しかし、当然、八坪の生命の保証はない。

カリ「...まあ、いいか。水中で高圧電流をくらっても、川底から這い上がってくる人だ
   からな。ズタズタになったぐらいでは死なないだろう。せめてバラバラかコナゴナ
   にしないと。」

わからねぇ。...ん?何が解らないかって??

六甲山には、いくつもの妖しげな廃墟が建ってんだよ。

だから、どれがメリーだかリリー・フランキーだか解らねぇのが難儀ちゃ、難儀だな。


写真3 写真4
写真5 写真6
六甲山にある、廃墟群


もともと、六甲山自体が観光名所であるせいか、スポットは各所に存在するが、どれも目当てのもんじゃねぇ。 通行人、何かの店の人間、観光客、電波、金星人と・・・さまざまな連中に聞き込みをかけてはみたが、誰も知っちゃいねぇときたぜ。
そうこうしてる間に、とうとう、山頂に辿り着いちまった。

カリ「見つかりませんねぇ」

結局、只の噂だったのかぁ?
チッ!とんだ肩透かしを食らわせられたぜ。
凄まじく、無駄なことをしてる気分だ。
さっさと帰って、難波にでも繰り出したい気分だったが、カリメロがどうしてもと言って聞きゃしねぇので、帰る途中に有った、『六甲山ホテル』に立ち寄り、ホテルの人間に話を聞いてやることにした。
写真7
▲「見つからねぇな」
しかし、やっぱり『メリーさんの館』なんて知らねぇってよ。 無駄なんだよ、無駄、無駄、ムダァ!!URYYYYYYYYiiiiii〜〜〜〜!!!

八坪「やれやれ、テメェのせいで、またいらん
   時間食っちまったじゃねぇかよ。」
カリ「頼みますから、もう少し、まともに探し
   てくださいよ。」
写真7
▲六甲山ホテル
だから、探してたろ〜が!
1分前まで、これ以上ないくらい精力的によぉ!! テメェが、ワケ解んねぇこと...

ホテルの人「なんの建物をお探しですか?」
カリ「いえ、洋風の建物で、昔ドイツ人の俘虜収容所だったらしいんですけどね。」

テメェ!さりげなく無視して、違うヤツと話してんじゃねぇ!!

ホテルの人「ああ、それだったら、ここですよ。」

八坪・カリ「(゜Д゜)は?」

カリメロに対する怒りは、このホテルマンの素っ頓狂な受け答えに飛んでっちまった。
今の今まで、必死こいて探してきたモンが、ここに今有るって言いやがったんだぜ!
もちろん、首根っこフン捕まえて聞き出したさ。 その結果は、思わず笑っちまうようなもんだった。 以下に、心霊スポット『メリーさんの館』が出来た流れを記載してやるから、目んタマをひん剥いて見やがれ!

写真9 「異人館通り」と呼ばれる観光地があることからも分かるとおり、戦前戦後に関わらず、神戸はもともと、外国人の行き来が多い港町であった。特に、ドイツ人に関しては六甲山を越えた有馬方面にドイツ軍の食糧庫があったこともあり、六甲山との関わりが深く『六甲山ホテル』が駐屯地、又は俘虜収容所とされていた時期もあった。 また、怪談「六甲山のメリーさんの館」の出典は、どうやら「稲川淳二のすご〜く恐い話」(リイド社)らしい。そうでなくても、『メリーさん』の名前を冠する怪談話や、所謂“廃洋館奇譚”は、なにも六甲山のみならず、全国各地に存在する。



これが解っている“事実”だ。で、推理なんだが....


神戸は大昔から港町で、外国人の出入りが多かった。
(『異人館通り』などもあり、外国人が設計、居住した建物も多い)

その中でも、六甲山にはドイツ人の出入りが多かった。
有馬方面にドイツ軍の食料庫があったことも関係する。
「六甲山ホテル」も一時期ドイツ人の俘虜収容所だった。

六甲山はもともと大きく深い山で、様々な種類の怪談話も多い。

そのような立地条件と全国に散らばる「廃洋館伝説」「メリーさん怪談」がつながり始める。

『稲川淳二のすご〜く恐い話』に『メリーさんの館』が掲載され、一気にブレイクする。

(゜Д゜)ウマー


八坪「『メリーさんの館』については、大体、こういった経緯か?」
カリ「(おお、初めて探偵らしい推理を!)まあ、分かんないですけれどねー。六甲山
   は深い山ですからね。僕達も全部探せたわけでもないし。」
八坪「そうだなあ、結局、スカイフィッシュも見つからねぇままだしな。」
カリ「八坪さんも“ズタズタ”にならなかったですしねぇ」
八坪「あん?どういう意味?」
カリ「いっ、いえ、何でもありません!」
八坪「ん〜?カリメロよぉ・・・ちょっと詳しい話を聞かせていただけるかなぁ〜?」

などと話しつつ、〆つつ、日暮れ近い六甲山を下って行った・・・。


写真10
山頂から


六甲山は兵庫県を代表する巨大な山岳だ。 怪談も多く「山全体が巨大な心霊スポットだ」と言うヤツもいる。 これだけ深く、大きな山だったら、不思議の一つや二つ、有ってもおかしくはねぇだろうよ。 というより、「あって欲しいな」と感じるから、『メリーさんの館』みたいな都市伝説が生まれるんだと、俺は思うぜ。

ネットアイドル八坪は、六甲山を応援してるぜ!


(参照資料) スカイフィッシュに関する新聞記事。(神戸新聞 2001年9月4日)

写真10
写真10

リアルネットアイドル・八坪30歳&カリメロ



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